山間に位置する、人口1000人余りの果埜村。 四方を森に囲まれて、名産品も観光名所もない、何もない退屈な村。 本居信長にとっては、意味のない、大嫌いな村。 だが、1年半前にこの村を出て行った「先輩」が帰ってきた時から 信長の日常は動き始める――。
本居 信長
哲学好きを拗らせて孤立している高校二年生。「自分は頭がいい」と思っているがスペックは普通。藤丸のことは「先輩」と慕っている。田舎の果埜村が嫌いで、東京の大学に行きたい。
「おれは、この果埜村が嫌いだ」
佐藤 藤丸
信長の先輩。村を出て東京の大学に出て行ったが今年の春に大学を辞めて村に戻ってきた。いわゆるドロップアウト組。義務教育時代は天才児と呼ばれていたが、今はなんだかよくわからないひと。
「何も知らないだろ、俺のこと」
九鬼 天音
信長の後輩。廃部寸前の美術部の期待の新人だがどこか電波入っている。「宇宙人と交信する」と言って壊れたガラケーを空に翳している。 ごつい水鉄砲で武装しているのは侵略者から身を護る為で、交友的な宇宙人とは違い侵略者は水に弱いらしい。
「はい、つまりですね、宇宙と繋がっているんです」
荷田野 八幡
気だるい感じの少年。いつも黒いパーカーを羽織ってゲームをしている。 Youtubeでゲーム実況配信者「8MAN」として活躍中。 十七歳だが学校には通っていない。コアなゲームマニアでレトロゲームが好き。
「今週も、超攻略シリーズ、はじめていこうとおもいまーす」
小室 粋
信長のクラスメイト。腐女子と呼ばれる性質の人間であり、ナマモノでも色々腐っている。前世少女でもあり、前世は地球を救った戦士であったらしい(自称)。 油断すると妄想が爆発する。
「そ、それって、そこから耽美な関係が始まったり……!?」
柳田 柘榴
信長のクラスメイト。ざっくばらんな性格で、幼い頃から古武術を習っていたので口より先にすぐ手や足が出る。男のような古風な口調で話すが、私服はひらひらのワンピース。「天音のおねえさん」という立ち位置。
「天音はあたしの言うとおりにしてればいいんだよ」
和辻 森
気弱でオタクっぽいいじめられっ子。おどおどして主体性がない。クラスの認識は「キモいオタク」。
「ボ、ボクは……えっと、ごめん、なんでもない……よ……」